【今週の1枚】奥多摩湖の夜明け、印象的な朝日

JR青梅線の終点・奥多摩駅から国道411号線を山梨方向へ走ると、やがて正面に小河内(おごうち)ダムが現れます。その先を左に折れると「奥多摩 水と緑のふれあい館」と駐車場があって、奥多摩湖を目指すならここに車を停めて周辺を散策するのが一般的です。

そのまま少し進むと、もうひとつ駐車場があります。今週の写真は、こちらで撮影したものです。先ほどの左折ポイントを曲がらず国道411号線のトンネルを抜けても、この駐車場に来ることができます。

使用したカメラは、オリンパスのCAMEDIA C-2020ZOOM。以前、今週の1枚に掲載した「屋久島・淀川の朝」を撮ったのと同じカメラです。レンズ交換ができない、いわゆるコンパクトデジカメでしたが、プログラムオート、絞り優先オート、シャッター速度優先オート、マニュアル撮影に対応し、ホワイトバランス(WB)の設定も可能な当時としては本格的な機種でした。

ホワイトバランスの設定で写真の印象が大きく変わる


撮影日は、2000年7月2日。未明に自宅を出て、バイクで大菩薩嶺に向かっていました。時間は午前5時ころ、この駐車場で休憩しているとき、その後の写真撮影に大きく影響するひとつの気づきがありました。

目の前の木々が朝の空気の中で青々として美しかったので、CAMEDIA C-2020ZOOMで撮り始めたのですが、モニターに映る画像が見た目の印象と違う。色味が抜けた感じで、ぜんぜん感動がない。「なぜだろう?」と思ったとき、ふと思い出したのがホワイトバランスです。

人間の目は、さまざまな光の中で自動的に色味を調整しています。ホワイトバランスは、これをカメラが行うもので、基本は白いものを白く写すという機能です。たとえば、白熱電球のオレンジ色の光の下でも白い壁を白く撮るといったことができます。

しかし逆に、ホワイトバランスの機能を使いこなすことで、そのときどきの光の色を強調した雰囲気のある写真にすることも可能です。たとえば、白い外壁に夕陽があたってオレンジ色に見える。これを白く映るように調整するのがホワイトバランスの本来の機能ですが、より赤味を強調するように設定することもできるのです。

当時まだ、山も写真も初心者だった私は、せっかく良いカメラを買ったのに初期設定のまま使っていました。つまり、ホワイトバランスが「オート」に設定されたままでした。そのため、カメラが勝手に朝の空気感を消して平凡な色合いに調整していたのです。

そのとき取扱説明書は持っていなかったのですが、試しに「昼光」に設定して撮ってみました。すると、カメラの小さなモニターでもはっきり分かるほど色味が変わりました。青みがかった朝の空気感が失われることなく、その場にいるような臨場感が出たのです。

そして、ふと湖の方を向くと、この朝日の絶景です。この何とも印象的なシーンを撮れたのも、ホワイトバランスを「昼光」にすることに気づいたから。「オート」のまま撮っていたら、この写真はなかったでしょう。

山写真は基本、ホワイトバランスを晴天に固定


それ以来、いろいろなデジタルカメラを使ってきましたが、私は基本的にホワイトバランスを「昼光」にしたままです。朝や昼間だけでなく、夜や曇りの日、マクロ機能で花を撮るような場合も同じです。

山で(というか屋外で)写真を撮るときは、ぜひホワイトバランスを「昼光」にしてみてください。機種によって「晴天」や「太陽光」など別の表記になっていますが、太陽のマークを選べば大丈夫です。

裏ワザとして、朝日や夕日の赤みを強調したいときは「曇り」や「日陰」に設定するとより赤く映ります。撮影が終わったら「昼光」に戻すことを忘れないでください。

撮影場所:奥多摩湖畔
撮影日:2000/7/2

ここへ行くのに最適な地図は、

[PR]この地図をAmazonで見る。

※このサイトには、Google AdSenseから配信された広告が表示されています。
※この記事には、アフィリエイト広告が含まれています。

山開き直前の富士山五合目【今週の1枚】山開き直前の富士山五合目

森の中の小さな絶景【今週の1枚】森の中の小さな絶景

関連記事

  1. 筑波山から望む朝日と霞ヶ浦

    【今週の1枚】筑波山から望む朝日と霞ヶ浦

    関東平野の北東部にそびえる筑波山。ふたつの頂がある双耳峰で、標高は876m…

  2. 朝日に染まった剱岳

    【今週の1枚】モルゲンロートの剱岳・別山・真砂岳…

    今回の写真は、朝日を受けて赤く染まった剱岳です。立山の主峰・雄山の山頂から…

  3. 【今週の1枚】奥秩父のギンリョウソウ

    この白い植物は、"ギンリョウソウ"(銀竜草)です。別名"ユウレイダケ"、英…

  4. 北穂高岳南峰

    【今週の1枚】出現! 北穂高岳南峰

    北アルプスの穂高連峰には、最高峰の奥穂高岳だけでなく前穂高岳や西穂高岳など…

  5. 登山道脇のタマゴケ

    【今週の1枚】登山者を見守るかわいい妖怪たち

    今回は苔(コケ)の写真です。これまでも何度か苔の写真を掲載していますが、今…

  6. 八ヶ岳の林道

    【今週の1枚】八ヶ岳の森に春が来た

    2002年4月10日、まだ雪が残る八ヶ岳に入山しました。メジャーな登山口の…

  7. 霞ヶ浦の朝

    【今週の1枚】霞ヶ浦の朝・静寂の時

    今回は、山ではなく水辺の写真を選びました。撮影場所は、茨城県美浦(みほ)村…

  8. 冬の丹沢山塊

    【今週の1枚】奥高尾から望む冬の丹沢

    先週は、奥高尾・紅葉台から見た元旦の富士山を紹介しましたが、今週は同じ場所…

おすすめ記事
  1. 鳥海山タイトル写真8
  2. 赤岳タイトル写真1
  3. 槍ヶ岳から見た山並
  4. 雨飾山の登山道
  5. 北岳タイトル写真5
  6. 剱岳タイトル写真4
  7. 槍ヶ岳タイトル写真4
  8. 奥穂高岳と涸沢岳
PAGE TOP