紀伊半島にある大台ケ原は、屋久島と並んで日本で最も雨が多い地域といわれます。年間降水量は約5000ミリで、これは一般的な都市部の4倍に相当するとか。以上、ネット記事の受け売りですが…。
かの深田久弥は、『日本百名山』の中で以下のように書いています。
大台ヶ原に登って雨に遭わなかったら、よほど精進のよい人と言われる。町で一年かかって降る雨を、ここでは一と月足らずで降ってしまうのである。統計がそれを示している。
その深田先生が最初に大台ケ原に登ったのは3月の初めで、山の上には雪があったものの素晴らしい天気に恵まれたそうです。大峰山脈や尾鷲の入り江をはっきり望むことができたと書いています。そして、その後、
たった一度でこんな快晴に恵まれたのは、私の精進がよかったからでなく、選んだ季節が雨季を外れていたからであろう。
と、続きます。ちょっと謙遜でしょうか。
私(下島)が大台ケ原へ行ったのは、2019年の5月後半でした。前日に大峰山へ行き、当日は暗いうちに大台山上駐車場を発って最高峰の日出ヶ岳へ。山頂の展望台で日の出を見ました。
続いて、朝日を受ける日出ヶ岳を撮るために南側の正木峠へ移動。このために前日、ロケハンしていました。
予定どおり日出ヶ岳を撮影したのですが、イメージしていたほど感動的な写真にはなりませんでした。むしろ、逆光ぎみの朝日を受けた正木峠の笹原に魅せられました。それが、この写真です。この世界に、こんな場所が、こんな瞬間が実際にあるんですね。
ちなみに、私が大峰山と大台ヶ原を訪ねたとき、2日とも晴れでした。これは私の精進がよかったからではなく、天気の変化を見極めて行ったからです。
この山行の直前、西日本から関東にかけて記録的な大雨が降りました。東京郊外の自宅を車で出発したときは、まだ豪雨の最中で、新東名が途中で閉鎖されていました。
しかし、この雨が過ぎると晴天が来るという予報を信じて西へと向かいました。それが当たり、大峰山と大台ヶ原の取材は大成功でした。この2座の記事も、いずれ『絶景360』にアップします。
撮影場所:大台ケ原・正木峠
撮影日:2019/5/23
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