【甲武信ヶ岳】山頂から八ヶ岳に沈む夕日を望む絶景

甲武信ヶ岳タイトル山梨県、埼玉県、長野県の3県境に位置する甲武信ヶ岳。日本百名山のひとつですが、百名山の中では地味な方かもしれません。でも、適度にいい山です。

甲武信ヶ岳タイトル画像1写真1:木賊山の北西斜面から見た甲武信ヶ岳。山頂部は意外にトンガリ山で、どのルートから昇っても最後に急登が待っている。(撮影:2023/7/2)

甲武信ヶ岳タイトル画像2写真2:三宝山の三宝石から見た甲武信ヶ岳。奥に富士山が重なって見える。手前に広がる樹林帯に降った雨は千曲川の源流に流れ込む。(撮影:2023/7/3)

三宝山、甲武信ヶ岳、木賊山写真3:金峰山から遠望した甲武信ヶ岳(中央)。右が木賊山で、左は三宝山。秩父3兄弟と呼んでいいんじゃないかと思う。(撮影:2021/11/10)

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3県境、千曲川水源地として知られる百名山


山が好きな人なら、おそらく甲武信ヶ岳(こぶしがたけ)の名前の由来を知っていると思います。甲州(山梨県)、武州(埼玉県)、信州(長野県)の3県の境にあるから甲武信ヶ岳ですね。

ほかにもいくつかの説があるようですが、最も有名でしっくりくるのが、この「甲州・武州・信州」説です。

標高は2475mで、国師ヶ岳や金峰山と並んで奥秩父を代表する山のひとつです。ただ、意外に見える場所が少ないので損をしている気がします。人気がイマイチなのも、そのためかもしれません。

甲武信ヶ岳の南側に西沢渓谷という美しい渓谷があります。ここから北側を見ると立派な山があって、「これが甲武信ヶ岳か!」と思うのですが、実は手前の木賊山(とくさやま)です。

甲武信ヶ岳の北側には、埼玉県の最高峰・三宝山から十文字峠へと至る尾根が続いています。しかし、こちらから見ても三宝山に隠れて容易に姿を確認できません。

西側や東側には見えるスポットがあるのですが、木賊山と三宝山に挟まれて、特に目立った山には見えません。深田久弥の『日本百名山』を読んでも、深田さんの個人的な思い出が選出理由に大きく影響しているように感じます。

私の手元に、2001年4月に山と渓谷社から発刊された『白旗史郎の百一名山』という写真集があるのですが、その解説の中で白旗さんは「甲武信ヶ岳などは申し訳ないが丘としか思えない」と切り捨てて、百一名山から外しています。

おそらく、日本百名山(深田百名山)に選ばれていなければ登る人は少ないと思います。私も2回しか登っていません。しかし、それでも登ってみる価値がある、なかなか良い山だと思います。

まずは、甲武信ヶ岳の山頂から見た昼間の景色をご覧ください。2枚目は山名を入れてあります。

※左下のTHETAの文字をクリック(タップ)すると、よりワイドな画面で見ることができます。

この写真は、Webサイト『絶景360』の一部です。『絶景360』は、こちら(https://zk360.site)からご覧いただけます。 – Spherical Image – RICOH THETA

甲武信ヶ岳山頂で昼の全天球パノラマ写真(撮影:2023/7/2)

この写真は、Webサイト『絶景360』の一部です。『絶景360』は、こちら(https://zk360.site)からご覧いただけます。 – Spherical Image – RICOH THETA

甲武信ヶ岳山頂で昼の全天球パノラマ写真(山名ガイド付き)

夕日と朝日、そして苔も魅力の山


甲武信ヶ岳は、千曲川の水源の山としても知られています。山頂部の西側に千曲川水源地という場所があって、ここから千曲川の最初の流れが始まっています。長野では千曲川と呼ばれていますが、新潟に入ると名前を信濃川に変えて日本海にそそぐ日本で一番長い川です。

水源地へ行くと「千曲川 信濃川 水源地標」が立っています。その横の沢が水源地なのですが、最初の一滴というよりジワッと滲み出している感じ。また、おそらく何度も整備されたのだと思いますが、私が行ったときは木片などがあってやや荒れた印象でした。

 千曲川水源地1 千曲川水源地2

この周辺には分水嶺が多く、甲武信ヶ岳の東側に降った雨は荒川となって東京湾にそそぎます。南側に降った雨は笛吹川となり、富士川に合流して太平洋へと流れます。

そして、意外に知られていないのですが、実はこの辺りは苔の名所でもあります。北八ヶ岳に勝るとも劣らない苔の群生がそこかしこに見られて、苔好きな人には堪らない山域だと思います。

山頂部は苔より岩が目立ちますが、雁坂峠へ続く稜線や十文字峠へ続く稜線を歩くと、たっぷりと苔の美しさを堪能できます。

甲武信ヶ岳周辺の苔1 甲武信ヶ岳周辺の苔2 甲武信ヶ岳周辺の苔3 甲武信ヶ岳周辺の苔4

最後に夕日と朝日ですが、山頂は西側の展望がいいので夕日がよく見えます。取材した7月中旬は、八ヶ岳に沈む夕日の絶景を楽しむことができました。

この写真は、Webサイト『絶景360』の一部です。『絶景360』は、こちら(https://zk360.site)からご覧いただけます。 – Spherical Image – RICOH THETA

甲武信ヶ岳山頂で夕方の全天球パノラマ写真(撮影:2023/7/2)

山頂の東側は木が多くて視界が開けないのですが、甲武信小屋の前のテラスから見る朝日が絶品です。その写真を【今週の1枚】で紹介しています。

【今週の1枚】絶品! 甲武信小屋前の御来光

関連記事として、よかったら以下の2本もご覧ください。

【木賊山】山頂の西側で展望を楽しめる立派な山
【三宝山】埼玉県の最高峰は三宝石からの展望がスゴイ!

甲武信ヶ岳へのアクセス

エリア:奥秩父

この山へ行くのに最適な地図は、
2024-金峰山・甲武信
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①アプローチし易いのは南側の西沢渓谷から。渓谷の入口に駐車場があるし、本数は限られますがバスもあります。西沢渓谷の入口から徳ちゃん新道を登って山頂までコースタイムで約5時間半。コースタイムに休憩時間は含まれていません。

②登頂が容易なのは、長野県側の毛木平(もうきだいら)に車を停めて千曲川源流を行くコース。コースタイム約4時間で山頂へ至ることができます。早朝から登れば日帰りも可能でしょう。千曲川水源地にも立ち寄ることができます。

③同じく毛木平から十文字峠に上がり、大山、武信白岩山、三宝山を経て甲武信ヶ岳を目指すルートもあります。ただし、途中にクサリ場があったりして意外に長くて険しいコースです。

④西沢渓谷の入口から雁坂峠に上がって、雁坂嶺や破風山を経て甲武信ヶ岳へ至る稜線歩きも魅力的なコースです。徳ちゃん新道を登って甲武信小屋に泊まり、下山時にこの稜線を歩くのもいいと思います。

⑤甲武信ヶ岳の西側、大弛峠(おおだるみとうげ)から国師ヶ岳を超えて稜線を歩くルートもあります。ただし、倒木が多い難コースといわれ、上級者向けです。

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朔を伸ばすスギゴケ【今週の1枚】朔を伸ばす北八ツのスギゴケ

木賊山タイトル1【木賊山】山頂の西側で展望を楽しめる立派な山

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