日本は、雨が多いこともあって各地に苔の名所があります。本州の中央部だと、まずは北八ヶ岳でしょう。この写真は、麦草峠の近くで撮りました。
撮影は9月、苔の瑞々しさを撮るには最適な時期ではなかったかもしれません。しかし、そこは北八ツ、見事に朔(さく)を伸ばした苔を見ることができました。朔とは、照明器具のように伸びている部分で、ここで苔の胞子がつくられます。
苔は何百種類もあって、私はほとんど見分けがつきません。ただ、この苔は最も一般的なスギゴケの仲間です。そのくらいは分かります。
苔を撮るときは、その距離感も大事だと思います。テレビの山番組では、ルーペで苔をのぞき込んだり、スマホのカメラに拡大レンズを付けて写真を撮るテクニックを紹介していたりしますが、アップにし過ぎると何が写っているのか分かりにくくなります。
この写真くらいの距離感だと、小さな世界が森林のようにも見えるし、逆に宇宙感を感じることもあって、私は好きです。
撮影テクニックとしては、このときは三脚でカメラを固定して焦点距離が長いマクロレンズを使っています。マニュアルフォーカス(MF)で中央の朔にピントを合わせて、絞り開放(f/2.8)から少しずつ絞ってf/16まで15枚ほど撮ったうちの1枚です。
あとでパソコンの画面で見比べて、f/5.6の写真を採用しました。絞り開放の方が前後のボケが大きくて幻想的なのですが、これくらい絞ってある方が苔の密度を感じられると思います。
撮影場所:八ヶ岳・麦草峠付近
撮影日:2002/9/18
この近くで撮影した苔の森の写真もあります。
【今週の1枚】北八ツ・苔の森の絶景
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