【今週の1枚】夜叉神峠から望む秋の白根三山

南アルプスの北部にある白根三山(しらねさんざん)。北岳(きただけ)、間ノ岳(あいのたけ)、農鳥岳(のうとりだけ)を合わせて白根三山といいます。

北岳は標高3193mで国内2位、間ノ岳は3190mで国内3位の高さです。どちらも日本百名山に選ばれています。以前は、北アルプスの奥穂高岳が3位で間ノ岳は4位とされていましたが、2014年の標高改定で同じ高さとされました。

農鳥岳は、日本百名山からもれていますが日本二百名山に入っています。とはいえ、農鳥岳も3026mと十分に高く、二百名山のなかで標高が3000mを超えるのは農鳥岳だけです。しかも、主峰とされる農鳥岳の隣に西農鳥岳があって、こちらの標高は3051m。なんと25mも高い。

今回の写真をみてもらうと、右側の少し白く尖った山が北岳、真ん中の白くてなだらかな山が間ノ岳、そして左側が農鳥岳です。この写真で見ると、農鳥岳より西農鳥岳の方が奥にあるため農鳥岳の方が少し高く見えます。

今なら、正確な高さを基準にして西農鳥岳が主峰になったかもしれません。しかし昔は、麓からの見え方や感覚的な位置関係、あるいは三角点設置の都合などで山頂が決められて、後で測り直したら山頂とされてきた場所と最高地点が違うといったことがときどきあります。

撮影場所の夜叉神峠(やしゃじんとうげ)は、北岳への主要な登山口・広河原(ひろがわら)へ向かう南アルプス街道の途中にあります。街道とはいえ険しい山道で、現在は夜叉神峠から先はマイカー規制されています。

実際には、夜叉神トンネル手前の駐車場までバスか車で入り、そこから峠に向かって登山道を約1時間登ります。そして峠まで登り切ると、今回の1枚のような絶景を見ることができます。

撮影時期は10月後半。足もとの笹が緑色なので分かりにくいですが、よく見ると木々は秋の装いです。

この夜叉神峠から稜線を北へ歩くと鳳凰三山(ほうおうさんざん)に至ります。そして、この稜線は白根三山を眺める絶好のコースです。以下の記事では、タイトル写真の中で北岳の雄姿を紹介していますが、どちらも鳳凰三山で撮ったものです。

【北岳】日本第2位の高峰で富士山を眺める絶景
【北岳ノ肩】標高3000mの稜線で山々が朝日に染まる絶景

また、北岳から間ノ岳へと続く道は「天空の稜線」「標高3000mの縦走路」と言われ、富士山を横に見ながら日本一高い場所を歩く、とても気持ちいい展望コースとして知られています。

私も歩いたことがありますが、残念なことに途中で雲が湧いて間ノ岳に着く前に周囲が真っ白、まったく景色が見えなくなってしまいました。リベンジのチャンスを狙っているのですが、まだ実現していません。

撮影場所:夜叉神峠
撮影日:2003/10/23


秋の燧ケ岳から見下ろしたダケカンバの森【今週の1枚】晩秋の森はシンフォニー

蔵王山タイトル写真1【蔵王山】朝日に染まる熊野岳と火口湖の絶景

関連記事

  1. 東天狗の山頂とシュカブラ

    【今週の1枚】東天狗の山頂とシュカブラ

    ここは、北八ヶ岳にある東天狗岳の山頂直下です。上の方に、山頂の標識が見えて…

  2. ダイヤモンド富士@高尾山

    【今週の1枚】ダイヤモンド富士@高尾山

    今や、絶景写真の定番ともいえる"ダイヤモンド富士"。今回は、高尾山の山頂で…

  3. 尾瀬ヶ原の霧が晴れる瞬間

    【今週の1枚】尾瀬ヶ原の霧が晴れる瞬間

    山へ行くと、霧に包まれることがよくありますね。山用語ではガスといいますが、…

  4. 立山から見下ろした黒部湖

    【今週の1枚】立山から黒部湖を見下ろす

    立山とか黒部湖というと、多くの人が思い浮かべるのは立山黒部アルペンルートか…

  5. 尾瀬ヶ原に群生するカキツバタ

    【今週の1枚】カキツバタが群生する尾瀬ヶ原

    7月、山は初夏です。そして、夏山シーズンが始まる時期です。実際には、梅雨が…

  6. 冬の奥多摩、海沢大滝

    【今週の1枚】初冬の滝はひっそり輝く

    今回の写真は、奥多摩の海沢(うなざわ)大滝です。撮影時期は12月中…

  7. 陣馬山山頂の夕景

    【今週の1枚】夕日マジック@陣馬山

    絶景って、いいですよね。私は絶景が大好きで、このサイト『絶景360』を始め…

  8. 北穂高岳南峰

    【今週の1枚】出現! 北穂高岳南峰

    北アルプスの穂高連峰には、最高峰の奥穂高岳だけでなく前穂高岳や西穂高岳など…

おすすめ記事

  1. 鳥海山タイトル写真8
  2. 赤岳タイトル写真1
  3. 槍ヶ岳から見た山並
  4. 雨飾山の登山道
  5. 北岳タイトル写真5
  6. 剱岳タイトル写真4
  7. 槍ヶ岳タイトル写真4
  8. 奥穂高岳と涸沢岳
PAGE TOP