今回は、ずっと前からこのサイトに載せたいと思っていたけど掲載できなかった写真です。
撮影場所は、箱根の駒ヶ岳山頂。大きな岩がゴロゴロしています。空は晴れていますが、春のため全体に霞んでいます。富士山の裾野も霞んで空に溶け込んでいます。そして山頂部だけが、まるでシルクスクリーンで印刷したかのように空に浮かんでいます。
季節や天候によって、富士山がこんな風に見えることもあるんですね。立体感がなく浮世絵のようにも見えます。
しかし、この写真を載せられない理由がありました。この写真の元写真はこれです(縮小してあります)。言われないと分かりにくいかと思いますが、だいぶ縦横比が違います。

縦横比4:3の元写真(縮小版)
現在、デジカメ写真の縦横比(アスペクト比)は3:2が一般的です。これは、35ミリフィルムとほぼ同じ比率です。たいていの機種は設定変更が可能ですが、主要メーカーのデジタル一眼レフ、ミラーレス一眼、コンパクトデジカメは3:2が標準になっています。
しかし、マイクロフォーサーズシステムを推進してきた旧オリンパス(現・OMデジタルソリューションズ)は、オリンパス時代から4:3が基本です(設定で3:2に変更することもできます)。
3:2とか4:3という数字で示されても理解しにくいかもしれませんが、3:2の方が横長で、4:3の方が正方形に近いんですね。
上に示した縮小写真は旧オリンパスのカメラで撮りました。そのため4:3で、一般的な写真より縦が長めです。そして、この縦横比の中でバランスよく構図を決めています。
ところが、その後、大きな問題が出てきました。写真をネットで共有する時代になって、縦横比がまちまちになったり勝手に比率を変更されるようになったのです。この問題については、いずれ機会をみて改めて書きたいと思います。
今回の写真に限っていうと、このサイトに使っているWordPressテーマのアイキャッチ画像の縦横比が760×460pixelで指定されています。これは約3:1.8にあたり、一般的な3:2よりさらの横長です(縦が短くなっています)。なので、このサイトに載せる写真は上下を少し切って掲載用の写真を作成しています。
元写真が4:3の場合、さらに上下をカットしないと指定の縦横比になりません。ところが、今回の写真の場合、そこまで上下をカットすると下部の岩を大幅に犠牲にしなくてはなりません。そして富士山の山頂部が大きくなって、かなり窮屈な写真になってしまいます。

上の写真の上下をカットして約3:1.8にした
そのため長年、掲載を見送っていたのですが、今回初めて画像生成AIの技術を使ってみました。Adobe Photoshopに搭載されている生成AI機能で背景を広げたのです。
まず、元写真の上下を少しだけカットしました。写真を左右に伸ばすと空の面積が広がるので、その分を見越してのことです。その後、写真の左右に余白を作って、そこをAIによる生成画像で埋めてもらいました。
パッと見は、よくできていると思いました。しかし、よく見ると手前の山の枯れ木が不自然です。左端と右端だけ一定の幅で木の表現が均一で細かくなっています。この部分がAIによって生成されたことがバレバレですね。
また、手前の石は自然に描写されていますが、現地へ行くと形が異なっていることでしょう。
AIによって生成された文章も画像や映像も、ビジネスの分野では急速に利用が広まって、ほとんどの人は気づかずに目にしていると思います。その流れを批判する気はないし、止めることはできないと思っています。
ただ、このサイトでは実際にカメラで撮影した写真を載せて行きたいと考えています。今回の1枚が、ギリギリセーフかアウトか境目あたりでしょうか。
撮影場所:箱根・駒ヶ岳
撮影日:2003/4/11
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