山へ行くと、霧に包まれることがよくありますね。山用語ではガスといいますが、実際には雲の中にいる状態です。たいてい、視界は数十メートル。足もとの登山道や近くの木々は見えても、周囲の景色は見えません。
そして、これまたよく見るのが山と山の間の谷に雲が広がっている景色。自分より下に雲海がある状況です。山の上は晴れていて絶景でも、このとき谷にいたらガスの中、谷から山は見えていません。
さて、今回の写真は尾瀬ヶ原です。尾瀬ヶ原の標高は約1400m、そして周囲を2000m前後の山に囲まれています。つまり窪地で、ここにガス(霧)が溜まると、ほとんど逃げ場がありません。
至仏山や燧ケ岳からガスに覆われた尾瀬ヶ原を見下ろすと、これはこれで幻想的でよい景色だと思います。でも、尾瀬ヶ原にいると、けっこう悲しいです。周囲の景色が何も見えません。楽しみは、木道から見る高山植物くらいでしょうか。
今回の写真を撮った日は、朝一番のバスで戸倉から鳩待峠へ行って山の鼻へ下りました。しかし、尾瀬ヶ原はガスで真っ白。それでも、いくつかある撮影スポットを目指して中田代あたりを歩いていました。
すると、午前7時すぎ、突然空の片側が明るくなりました。見上げると、どんどん青空が見えてきます。その瞬間を撮ったのが今回の一枚です。
山の上で、ガスや雲が切れて遠くの山が見えてくる、といったことはときどき経験します。でも、このように湿原で右から左へ幕が開くようにガスが消えていく様子を見たのは初めてでした。
この後は、燧ケ岳も至仏山もよく見えました。
撮影場所:群馬県・尾瀬ヶ原
撮影日:2018/7/19
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