【2024年版】おすすめ登山アプリと最強の登山地図

登山の必須アイテムはいろいろありますが、登山地図もそのひとつ。スマホの地図アプリがあるから大丈夫と思っている人もいるかもしれませんが、登山で地図アプリは役に立ちません。現状、紙の登山地図と登山アプリの組み合わせがベストです。その理由を解説したうえで、最強の登山地図の2023年版を紹介します。

最終更新:2024年3月21日

※タイトル写真は、雨飾山(新潟県)の山頂から見た登山道です。登山道の形が女性の横顔に見えるため、雨飾山は女神が住む山といわれています。
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スマホの地図アプリは、山では役に立たない


今は、車の運転はカーナビ、街中ではスマホでGoogleマップ、だから紙の地図は使わないという人が多いと思います。登山でも、今は便利な登山アプリがあるので、それを使えば紙の地図は不要な気がします。

しかし、紙の地図にも登山アプリにもメリットとデメリットがあって、この2つは相互に補完してくれます。つまり、両方を組み合わせて使うのが最強です。

たとえば、Googleマップ(Google Maps)やYahoo!地図(Yahoo! MAP)といった地図アプリは便利ですね。私も普段から使っています。でも、山では使いません。理由は簡単で、こうした地図アプリは登山道が表示されないのです。

東京郊外の高尾山くらい有名な山だと、ある程度の登山道が出ることもありますが、すぐ隣の陣馬山ではほとんど表示されません。奥多摩や八ヶ岳も同様です。

以下の地図アプリ画面(スクショ)は、陣馬山の山頂付近で撮ったものです。陣馬山は東京と神奈川の境にあって、手軽に登れて展望のいい山です。しかし実は、こうした身近な低山で道迷いが頻発しています。多くの人が山へ入るため登山道が複雑で分岐が多く、地元の人の作業道などもあるからです。そのため、現在位置の把握は重要です。

陣馬山の記事はこちら

スマホの地図アプリは、少なくとも今は登山で利用することが想定されていません。まずは、GoogleマップやYahoo!地図を頼りに山へ入るのは自殺行為に等しいと考える方がいいでしょう。

地図アプリ画面

左はGoogleマップ。現在位置は出るものの登山道が表示されないので、どう進めばいいか分からない。黒い破線は道ではなく都県境。右はYahoo!地図。圏外のため利用できなかった。

※2023年4月、Googleマップに登山道が追加されるというニュースが流れました。その後、ごく一部の登山道が点線で表示されましたが、ほとんど進展がみられません。また、コースタイムなど重要な情報がありません。

スマホ用の登山アプリは便利でメリットが大きい


では、どうするか。山には山の道具があります。YAMAP(ヤマップ)などの登山アプリです。基本的な機能は登山地図なので、地図の上に登山道がしっかり表示されます。そして登山では、一定の区間ごとにコースタイムと呼ばれる歩行時間の目安が設定されていて、それがアプリ画面にも表示されます。

さらに、他の利用者が投稿した写真やコメントを見ることができたり、自分の登山計画を作ったり、登山記録を残したり、それを他の人と共有することもできます。たとえば登山道に沿って、きれいな花が咲いていたとか、休憩に丁度いい、ここで迷いやすい、といった情報があると助かりますよね。

そして、特にメリットが大きいのがスマホのGPS機能を使って自分の現在位置を確認できること。たとえば、登山口から最初の分岐までコースタイムで1時間となっている。しかし、ほぼ1時間歩いたのに分岐に着かないといったとき、アプリの地図画面に現在地が表示されるので、あとどのくらい歩けばいいのか分かります。

あるいは、道に迷ったとき。登山アプリに表示された現在位置が登山道から外れていたらルートを誤っています。登山道を外れると警告してくれる機能もあります。このような場合も、周囲の状況を確認しながら登山道に戻ることができます。現在地だけでなく、自分が今どの方向を向いているかも分かるので進むべき方向も決めやすくなっています。

しかも、この機能は携帯電話の電波が圏外でも利用できます。GPSの電波が届けばいいので、黒部渓谷の谷底など特殊な場所でない限り、日本中ほぼ大丈夫です。

登山地図アプリ画面1

左はYAMAPの地図画面。登山道が赤いラインでしっかり描かれている。青い丸が現在位置で、自分が向いている方向も分かる。右は、あとで紹介する「山と高原地図ホーダイ」の画面。やはり、登山道と現在位置がハッキリ分かる。

紙の地図しかなかった時代は、道に迷ったら確実に分かる場所まで引き返すのが基本でした。それが難しい場合は、高いところに登ってコンパスで方向を確認、周囲の山を見ながら現在地を特定する技術が必要でした。

しかし、天候が悪くて周囲が見えないときは、この方法は使えません。その点、登山アプリなら特別な技術がなくても、周囲が霧につつまれていても、現在地を確認できるので強い味方になってくれます。


注意! 登山アプリにはデメリットやリスクもある


しかし、登山アプリにも欠点があります。まず、画面が小さいこと。地図を自在に拡大縮小できるのはメリットなのですが、たとえば1日分の行動範囲、その全体を見たいといった用途には不向きです。さらに、2~3日の縦走登山の計画を立てるといったとき、スマホの画面で計画の全容を把握するのは極めて困難です。

登山地図アプリ画面2

右は、YAMAPで高尾山から陣馬山までを一覧したところ。コースタイムで約6時間の距離だが、ゴチャゴチャでルート確認が難しい。左は「山と高原地図ホーダイ」で同じ区間を表示したところ。表示が小さく何が書いてあるのか読み取れない。

そして最大の問題は、スマホのバッテリー切れです。特に山中で宿泊を伴う場合や寒い時期の登山はリスクが高まります。

山では今も、携帯電話の電波が届かない場所が多々あります。するとスマホは、電波を探し続けて通常よりバッテリーを消耗します。あるいは、2~3日の登山となるとバッテリーが切れてもおかしくありません。

そのためモバイルバッテリーを持っていくと思いますが、これが意外に重い。何個も持つわけにはいきません。今は、スマホやモバイルバッテリーを有料で充電できる山小屋もあります。しかし、必ずできるとは限りません。

また、これは私が実際に経験したことですが、10月の金峰山山頂でスマホを使っていたら急激にバッテリー残量が減って一気にシャットダウンしたことがあります。そのとき、かなり寒かったのですが、まだ雪がある状況ではありませんでした。

その後、いくら電源を入れようとしても起動せず、結局、下山後に充電器につないだら復活しました。紙の地図を持っていたので、それを頼りに下山したのですが、スマホの登山アプリだけだったら危ない状況でした。

紙の地図には登山アプリにないメリットがある


スマホの登山アプリの弱点を補ってくれるのが紙の登山地図です。まず、広げると周囲の山々を含めて状況を把握できます。2~3日の縦走登山でも計画の全容を確認できます。

天気が良くて周囲の山を見渡せる状況なら、どれがどの山か山座同定に利用できます。これは、山の楽しみでもあります。

なお、この点に関しては登山アプリとは別にスマホの画面に周囲の山の名前を表示してくれる専用アプリがあります。ARの技術を使っていて、これはこれで便利です。しかし、どうも山名の位置がズレることが多い。今後の精度向上に期待したいところです。

必要な情報やメモを書き込めるのも紙の地図のメリットです。目印に丸を付けたり注意点を書くほか、コースタイムに対して実際にかかった時間を書き込んでおくと貴重なデータになります。

そして、紙の地図の圧倒的なメリットはバッテリー切れしないこと。山中でスマホのバッテリーが切れても、紙の地図を持っていれば進むことも下山することもできます。状況によっては、あなたの命を助けてくれる極めて重要なアイテムになります。

「でも、濡れたら破れるでしょ」と思うかもしれません。大丈夫です。今は紙にコーティングが施されていて、雨に濡れても汗で濡れても使い続けることができます。むしろ、スマホの方が雨の中では使えないケースが多いですよね。

登山アプリと登山地図のメリット・デメリット

メリットデメリット
登山アプリ現在地がピンポイントで分かる。
道外れの際、登山道に戻りやすい。
地図の拡大縮小ができる。
標高や緯度経度が出るアプリも。
他の登山者との情報共有が可能。
登山記録を自動的に残せる。
広いエリアを見るのは不向き。
バッテリーが切れたらアウト。
雨の中では使いにくい。
周囲の山の確認は別のアプリで。
紙の登山地図広い範囲を俯瞰的に見られる。
縦走登山の計画を立てやすい。
ペンで書き込みができる。
バッテリー切れの心配がない。
今は雨の中でも使用可能。
現在地の特定に技術が必要。
現在地の正確な把握は難しい。
道外れの際はアプリが有利。
拡大縮小ができない。
広げると風に煽られやすい。
登山アプリと紙の登山地図は、それぞれの弱点を補完してくれる。一見メリットが多い登山アプリには、広いエリアを確認できない、スマホのバッテリーが切れると使えないという致命的なデメリットがある。

というわけで、現在の最善策は登山アプリと登山地図の両方を使うことです。状況によって使い分けたり、両方を見たりします。実際、今は山で会う人の多くがそうしていますし、アプリは1種類だけでなく用途に応じて複数のアプリを使う人が増えています。

その他の登山アプリ

左は、スマホのカメラで取り込んだ風景に山名を重ねて表示してくれるAR山ナビ。同様のアプリが数種類ある。右は、登山アプリのGeographica。画面上部に標高と緯度経度が表示されている。

「紙の地図でないと信用できない」というベテランさんも、「紙の地図とか使ったことないし」というスマホ世代の人も、山へ行くときはぜひ両方をセットで活用し、より安全で楽しい登山を実践して頂けたらと思います。


登山アプリのお勧めナンバーワンはYAMAP


登山アプリの定番は、やはりYAMAPです。ユーザー数が多くて多機能、地図機能だけ使ってもいいですが、山の情報収集や情報発信にも利用できます。登山計画を作ったり、行動記録を残したり、登山用品の購入や登山保険への加入も可能です。

ただし、すべての機能を使うには有料版のYAMAPプレミアムへの申し込みが必要です。月額780円または年額5700円ですが、どちらも最初の1ヶ月は無料体験ができます。なお、学生には「無料使い放題プラン」が設定されることがあります。

YAMAPの画面

左は、YAMAPのホーム画面。右は、ダウンロードした地図の一覧。プレミアム会員は最大50枚を保存できる

YAMAPには無料コースもありますが、この場合はダウンロードできる地図が月に2枚まで、スマホに保存できる地図も2枚までに制限されてます。月が替わって新しい地図をダウンロードする際は、スマホ内の地図を削除する必要があります。

YAMAPを、とりあえず試しに使ってみるなら無料コースでもいいでしょう。しかし、その便利さを実感したら、あるいは定期的に山へ行くならYAMAPプレミアムを使う価値は十分にあると思います。

YAMAPの公式サイト

YAMAPアプリのダウンロード
iPnone版
Android版

最強の登山地図は「山と高原地図」シリーズ


紙の地図で最強なのは、昭文社の「山と高原地図」シリーズです。昭文社は、MAPPLEブランドでさまざまな地図を出していますが、登山地図の分野でも他の追随を許さない圧倒的な強さがあります。

実際、山で出会う人が持っている地図は、ほぼ全員が「山と高原地図」シリーズといっても過言ではありません。

日本の全土をカバーしているわけではないですが、北は北海道・利尻山から南は屋久島まで主要な山の登山道が網羅されています。一般的な登山者が登る山は、まず問題ないでしょう。そして毎年、内容が更新されています。

2024-日本アルプス総図

2024年版の「日本アルプス総図」。他のエリアは、この記事後半の一覧で

一人勝ちともいえる「山と高原地図」シリーズですが、今はスマホでも使えるようになっています。「山と高原地図」シリーズの内容をそのままスマホの画面で見られるだけでなく、現在位置も表示されるよう機能強化されています。

アプリは、「山と高原地図」と「山と高原地図ホーダイ」の2種類があります。「山と高原地図」は、61種類ある地図を1枚につき600円でダウンロードします。行きたいエリアごとに地図を買うイメージです。「山と高原地図ホーダイ」の方は、毎月500円を払い続けることで「山と高原地図」全61枚のデータをいつでも何度でもダウンロードできます。

どちらも紙の地図と同じ内容を見ることができるので、これをスマホに入れれば紙の地図は不要と思われるかもしれません。しかし、スマホの画面では、広い範囲を見るという紙の地図のメリットを活かせません。

そこでお勧めなのが、昭文社が行っているのがアプリ無料体験キャンペーンを活用する方法です。

紙の「山と高原地図」を買うと、そのエリアの地図データを「山と高原地図ホーダイ」で利用することができます。地図に同梱されている冊子の最後にクーポンがあって、QRコードを読み取ると地図データを無料でダウンロードできます。

ただし体験キャンペーンなので、その地図データを利用できるのは6ヶ月(2023年版までは1年)だけ。2024年版を購入した場合、クーポンを使えるのは2025年の3月末までで、地図データの有効期限はダウンロードした日から半年間です。

「山と高原地図」のアプリは、YAMAPのような本格的な登山アプリに比べるとやや機能が少ないともいわれます。しかし、山を歩くための機能を重視するなら必要十分だと思います。

まずは一冊、次に行きたい山域の「山と高原地図」を購入して、「山と高原地図ホーダイ」アプリを試してみるといいでしょう。

登山者必携! 最強の登山地図リスト 2024年版


※2024年版は、以下の63巻です。2023年版までは61巻でしたが「筑波山・加波山」と「三浦・房総」が増えました。「大雪山」と「北摂・京都西山」は、2024年版で全面改訂がありました。
※各地図名をクリック(タップ)するとAmazonのページが開きます。
※「山と高原地図」は例年、2月から3月に順次その年の版が発売されます。2025年版が出揃うのは2025年3月ころです。

<北海道>
1.利尻・羅臼 知床・斜里・阿寒・礼文
2.ニセコ・羊蹄山 暑寒別岳・駒ヶ岳
3.大雪山 トムラウシ山・十勝岳・幌尻岳(全面改訂)

<東北>
4.八甲田・岩木山 白神岳・十和田湖・田代岳
5.岩手山・八幡平 秋田駒ケ岳・姫神山・森吉山・和賀岳
6.栗駒・早池峰 焼石岳・神室山
7.蔵王 面白山・船形山
8.鳥海山・月山 羽黒山
9.朝日連峰 以東岳・摩耶山
10.飯豊山 えぶり差岳・二王子岳
11.磐梯・吾妻 安達太良

<北関東・信越>
12.那須・塩原 高原山・八溝山
13.日光 白根山・男体山
14.尾瀬 燧ケ岳・至仏山・会津駒ケ岳
15.越後三山 平ヶ岳・巻機山
16.谷川岳 苗場山・武尊山
17.志賀高原 草津白根山・四阿山
18.妙高・戸隠・雨飾 火打山・高妻山・信越トレイル
19.浅間山 軽井沢・長野原の山々
20.赤城・皇海・榛名 袈裟丸山・足尾山地
21.西上州 妙義山・荒船山
22.筑波山・加波山 高鈴山・奥久慈男体山(新刊)

<南関東・中部>
23.奥武蔵・秩父 武甲山
24.奥多摩・奥秩父総図
25.奥多摩 御岳山・大岳山
26.大菩薩嶺
27.雲取山・両神山
28.金峰山・甲武信
29.高尾・陣馬
30.三浦・房総(新刊)
31.丹沢
32.箱根 金時山・駒ヶ岳
33.伊豆 天城山
34.富士山 御坂山地・愛鷹山
35.八ヶ岳 蓼科・美ヶ原・霧ヶ峰

<日本アルプス>
36.日本アルプス総図
37.白馬岳
38.鹿島槍・五竜岳
39.剱・立山
40.槍ヶ岳・穂高岳 上高地
41.乗鞍高原
42.御嶽山 小秀山・奥三界岳・位山三山
43.木曽駒・空木岳
44.北岳・甲斐駒
45.塩見・赤石・聖岳

<北陸・近畿>
46.白山 荒島岳・能郷白山・金剛堂山
47.御在所・霊仙・伊吹
48.比良山系 武奈ヶ岳・赤坂山
49.京都北山
50.北摂・京都西山 箕面・妙見山・中山・丹波篠山(全面改訂)
51.六甲・摩耶 須磨アルプス
52.金剛・葛城 生駒山・紀泉高原
53.高野山・熊野古道 伯母子岳
54.大峰山脈
55.大台ヶ原 高見山・倶留尊山
56.氷ノ山 鉢伏・神鍋

<中国・四国>
57.大山・蒜山高原 三瓶山・比婆山・道後山
58.石鎚・四国剣山 東赤石岳・三嶺・四国山地横断トレイル

<九州>
59.福岡の山々 宝満山・英彦山
60.阿蘇・九重 由布岳
61.祖母・傾 大崩山
62.霧島・開聞岳 市房山・高隈山
63.屋久島 宮之浦岳

「山と高原地図」は日本の主要な山を網羅していますが、それでも載っていない山があります。日本百名山はすべて入っているのですが、二百名山や三百名山の中には掲載されていない山もあります。

そんなときは、国土地理院の2万5千分の1地形図を利用するのがベテラン登山者のやり方です。ただし、使いこなすには地図から地形を読み解く技術が求められます。

私は、今のところ概ね「山と高原地図」で間に合っています。その他の方法としては、目的の山がある地域の自治体がPDF版のパンフレットをホームページに掲載していたりします。これを印刷して持って行くのもいいでしょう。


まとめ


登山に必携の登山アプリと登山地図について、双方のメリットとデメリットを解説しました。結論は、両方を併用するのがベストです。それぞれの弱点を補って登山の安全性を高めてくれます。山の地図は、ときに命を守ってくれる重要なアイテムです。適切なものを使って、安全な山歩きを楽しんで頂ければと思います。


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