埼玉県の西部、秩父市にある武甲山は日本二百名山のひとつ。山頂直下に立派な神社があって展望も良いのですが、その姿はかなり異様です。
写真1:東側の二子山(雄山)から望む武甲山の北面。まるで、SF映画やアクション映画に出てくる秘密基地のよう。(撮影:2022/11/25)
写真2:西側の四阿屋山(あずまやさん)から遠望した武甲山(中央の三角の山)。昔は、こんな尖った山ではなかったという(撮影:2022/11/17)
写真3:武甲山の南側にある登山道から見上げた山頂部。こちら側から見ると、何の変哲もない普通の山に見える。(撮影:2022/11/25)
※タイトル画像は5秒ごとに変わります。
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おそらく、最も人の手が加えられた二百名山
関東周辺で山歩きをする人なら、武甲山(ぶこうさん)という名前を聞いたことがあると思います。首都圏から近くて日帰りで楽しめる山です。
とはいえ、「いつでも行ける」という気持ちから、私は武甲山の登山を先延ばしにしてきました。そのため、初めて登頂したのは2022年11月でした。
武甲山について、ある程度は予備知識があったのですが、実際に登ってみると、なかなか個性的な山でした。
まず山の北面は、セメントの材料となる石灰岩の採掘が進み、大きく削られています。タイトル写真で秘密基地のように見えるのは、採掘が進んで切り崩されているためです。石灰岩の採掘は今も進行中で、山頂では毎日決まった時間に発破の音が聞こえます。
武甲山は、昔は丸みを帯びたジャガイモのような形の山で、標高も今より30m以上高かったそうです。現在の標高は1295mとされていますが、これは従来の山頂が採掘で削られた後に三角点が移設された場所の高さ。実際には、少し離れたところに標高1304mの最高点があって、地図には2つの標高が記されています。
登山道は東側と西側、南側にありますが、東側のルートが表参道と呼ばれています。そして、山頂直下まで上り詰めると武甲山御嶽神社があります。山にありがちな小さな祠ではなく、なかり大きく立派な建物です。
表参道コースを登って行くと、延々と杉の森が続きます。途中には「大杉の広場」と呼ばれる休憩スポットもあります。つまり、この表参道の森は人工林、人が植えた木の森です。なお、南側の斜面に回ると、この地域本来の広葉樹林が広がっていました。
北側は、石灰岩の採掘のため大きく削られて原型をとどめていない。東側の表参道は、延々と人工林が続く。それでいて日本二百名山に名を連ねている、何ともユニークな山です。
山の形が変わり、標高が下がるほど人の手が加えられた山の姿を見ると、山好きな人は少々複雑な思いが込み上げるかもしれません。
しかし私も、武甲山のセメントで造られたビルに入り橋を渡ったかもしれません。武甲山で採れた材木を使ったかもしれません。昔から利用されてきたということは、それだけ人の役に立ってきたということだと思います。
さて、武甲山の最高地点は採掘の都合なのか立ち入ることができません。しかし、その少し脇に柵で仕切られた展望台があります。ここから、秩父市内を見下ろすることができます。そして、遠くには谷川連峰など関東北部の山々を望むことができます。
山頂の案内板には東西南北の山々が載っていますが、実際に見えるのは実質的に北方向だけ。しかし、その展望は見事です。以下の360°全天球パノラマ写真をご覧ください。
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この写真は、Webサイト『絶景360』の一部です。『絶景360』は、こちら(https://zk360.site)からご覧いただけます。 – Spherical Image – RICOH THETA
武甲山山頂で全天球パノラマ写真(撮影:2022/11/25)
武甲山へのアクセス
エリア:奥武蔵・秩父
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①メインルートは、東側の一の鳥居から表参道を登るコース。鳥居をくぐったところに駐車場がある。鉄道の場合、最寄りの西武秩父線・横瀬駅から一の鳥居まで徒歩約2時間。バス便はなく、途中の道路はセメント工場の中を歩く感じ。そのため、横瀬駅か西武秩父駅からタクシー利用が現実的。表参道ルートには石の標柱が設置されていて、一の鳥居が一丁目で御嶽神社が五十二丁目。
②鉄道の場合、秩父鉄道の浦山口駅から歩く西側のルートの方がアプローチしやすいと思う。歩行時間も日帰り登山にちょうどいい。
③一の鳥居から妻坂峠へ登り、大持山、小持山を経て武甲山へ至る縦走ルートもある。武甲山山頂から表参道を下ると一の鳥居に戻ることができる。意外にアップダウンがあって歩き甲斐のあるコース。逆ルートも可能。