今回の写真のテーマは、春の空気です。
梅の花は、見えない主人公を引き立てる脇役といったところ。といっても最優秀助演賞をあげたいくらいの存在感ですが。
天気予報で「暦の上では…」という表現を見聞きしますが、この暦は旧暦のこと。今の暦とは1ヶ月くらいズレがあります。
暦の上(旧暦)で春になるのは立春の日で、節分の翌日です。つまり、2月3日か4日ころ。でも、2月初旬はまだまだ寒い。現在の区分では、3月から5月を春とするのが普通だと思います。
この写真を撮ったのは3月5日、まさに早春という言葉が相応しい時期です。
そして、この写真を語る重要な要素として”光の春”という言葉があります。3月初旬は、春になったとはいえ気温が低くてコートを手放せない日が多いでしょう。しかし、昼間の時間は長くなっていて、日差しも明るくなっています。
ご存じのように、1年で最も昼間が短いのは冬至の日で12月22日ころ。しかし実は、日没が最も早いのは12月初旬で、日の出が最も遅いのは1月初旬です。
ということで、3月初旬は既にかなり日が長くなっていますし、同時に太陽の位置も高くなって陽の光が強くなっています。
空気は温まるまで時間差があるのでまだ寒いのですが、それに先駆けて日差しが強く明るくなります。これを”光の春”といいます。もともと、緯度が高くて冬はほとんど日が昇らないロシアの言葉だったそうです。
実際、2月中旬から3月ころ、屋外を歩いていると、あるいは窓から外を見ると、明るく眩しい日差しを感じることがよくあります。
しかし、まだまだ空気は冷たい。そんな空気感を写したのが今回の1枚です。画面中央の空気にピントが合っているのが分かりますか。分かりませんよね、そんなことはできないので。
実際には左上の白梅にピントを合わせていますが、同じ距離にある空気にもピントが合っているはずです。きっと。
撮影場所:昭和記念公園
撮影日:2003/3/5
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