【大山】伯耆富士の稜線で日本海に飛び込むような絶景

大山タイトル大山(だいせん)は、中国地方で唯一の日本百名山。伯耆(ほうき)富士とも呼ばれ、西側から見ると左右に伸びた稜線が美しい。しかし、まったく別の姿がある。

大山タイトル写真1写真1:大山撮影の定番スポットのひとつ、上田正治写真美術館の前で見た大山。確かに富士山に似ている。左の突起は三鈷峰。(撮影:2022/6/28)

大山タイトル写真2写真2:鳥取県道52号線・伯耆町小林にある大橋から見た大山。上田正治写真美術館から見るより、さらに富士山の姿に近い。(撮影:2022/6/28)

大山タイトル写真3写真3:大山の北側、豪円山中腹にある”のろし台”から見た大山北壁。火口の内側が見えている。登山道は右側手前の尾根筋を行く。(撮影:2022/6/28)

大山タイトル写真4写真4:江府町美用から見た大山の南壁。こちらは火口の外側になる。最高点の剣ヶ峰がよく分かる。登頂可能な弥山は左側にある。(撮影:2022/6/28)

大山タイトル写真5写真5:棚田で知られる貝田地区から見た大山と烏ヶ山。ここからも大山の南壁が見えている。左へ回り込むと富士山に似た形に変わる。(撮影:2022/6/28)

大山タイトル写真6写真6:弓ヶ浜にある美保湾展望駐車場「大山遥拝所」から海岸へ降りて遠望した大山。山の印象が、また異なって見える。(撮影:2022/6/30)

※タイトル画像は5秒ごとに変わります。
※このサイトには、Google AdSenseから配信された広告が表示されています。
※この記事には、アフィリエイト広告が含まれています。


見る方角によってまったく異なる姿になる山


鳥取県の西部(島根県に近い方)にある大山。標高は1729mで、中国地方で唯一の日本百名山です。西側から見ると富士山に似ているのと、7世紀ころから鳥取県の中部と西部を伯耆国(ほうきのくに)といったことから伯耆富士ともいわれます。

中国自動車道を走ると山また山という感じでカーブが続き、中国地方はすごく山深い感じがします。実際そうなのですが、実はあまり高い山はありません。高くても標高1200m台の山が延々と続いています。そんな中で、大山だけが標高1700mを超えています。

北アルプスや南アルプスの山と比べると標高1700mはあまり高いように思いませんが、大山は海に近いため登山口でも標高750m。そこから一気に1000m近く標高を上げるのと、ほぼ独立峰ということもあって、ひときわ大きく感じます。

しかも大山は、大昔から信仰の山として栄えてきました。島根県の出雲に近く、神話にも登場します。『日本百名山』の中でも、紙幅の多くが大山の歴史や文化の記述に割かれています。

個人的な大山との出会いは30年以上前になります。そのころ私は、毎年夏にオートバイで長距離ツーリングをしていました。ある年は、フェリーで九州へ渡り、九州北部から関門海峡を経て中国地方へ。そして山陰を走りました。

当時は、限られた日数で長距離移動するため、しばしば夜まで走っていました。その日も、暗くなってから国道9号線を東へ進んでいると、正面に突然、巨大な山が浮かび上がりました。「海に近いところを走っているはずなのに、なんで?」と思いつつ、そのまま進むといつの間にかその山は消えてしまいました。

あとで地図を確認して、それが大山だったことを知りました。しかし、その後、右側に見えるはずの大きな山影が消えた理由は解せないままでした。

多くの山は、見る方角によって姿かたちが変わります。富士山のように、どこから見ても同じ形の山はむしろ稀です。

そして中には、見る方角によって極端に形が変わる山があります。大山もそのひとつで、西側から見ると本当に富士山と見紛うような形をしていますが、北や南からみると左右に長く稜線が伸びています。しかも、その稜線は火口の縁なので湾曲しています。

私が、ツーリング中に「大きな山が消えた」と思ったのは、山の形が変わって長い稜線が普通の山のように見えたからでしょう。

稜線は崩壊が激しく行けるのは弥山の手前まで


それからだいぶ経って、登山をするようになり「いつか大山に」という思いを募らせていました。それが焦りにも似た気持ちになったのは、大山が崩壊を続けていて山頂まで行けないと知ったときでした。

現在、大山の山頂部は崩落が激しくて通行禁止です。そのため、最高地点の剣ヶ峰には行くことができません。登頂可能なのは、西側の弥山(みせん)の手前まで。「これは、早く行かないと、いずれ登れなくなるのでは…」なんて思ったわけです。

実際は、そこまで急激な崩壊はないと思いますが、いかんせん私が住む関東からは遠い山。「行けるときに行かなければ」ということで、2022年6月に大山登山を決行しました。

弥山へと至る登山道は急坂でした。それが終わり、山頂部に出るとなだらかになって長い木道が続いていました。木道の終点まで行くと、「大山頂上」の石碑と階段状のウッドデッキのようなものがあります。行けるのは、そこまでです。

では、そこからの360°全天球パノラマ写真をどうぞ。

以下のタイトルをクリック(タップ)するとリンク先にある360°全天球パノラマ写真を見ることができます。PCは全画面表示、スマホは横向きもお勧めです。

大山(弥山)の山頂で360°全天球パノラマ写真(撮影:2022/6/28)

大山(弥山)の山頂で360°全天球パノラマ写真(ガイド入り)

さて、下り。同じ道を引き返すのですが、登っているときに感じていた以上に急坂でした。特に、山頂部から六合目避難小屋までは、まるで日本海へとダイブするような感じで、転げ落ちそうな錯覚を覚えながらの下山となりました。

大山の稜線から見た美保湾

大山の稜線から望む、美保湾、弓ヶ浜、島根半島。

山頂(弥山)からも日本海がよく見えますが、途中の稜線の方がより近く感じました。

大山(弥山)へのアクセス

エリア:中国地方

この山へ行くのに最適な地図は、
2024-大山・蒜山高原
[PR]この地図をAmazonで見る。

①大山の登山口は実質的にひとつ、北側の夏山登山口だけ。最短ルートは、そこから夏山登山道と呼ばれる尾根道を行くコース。

②夏山登山口から大山寺と大神山神社を経て、奥宮の裏手から入るコースもある。途中の河原から大山の北壁を望むことができる。このルートは行者登山道と呼ばれ、六合目の手前で夏山登山道に合流する。

③破線ルートながら、剣ヶ峰の東にある象ヶ鼻や北東の三鈷峰(さんこほう)へ至る道もある。大神山神社奥宮から登山道に入り、少し先の二股分岐を左に折れる。

50音順インデックス
エリア別インデックス

落葉が彩る晩秋の渓流【今週の1枚】落葉が彩る晩秋の渓流

アーベントロートの丹沢山塊【今週の1枚】アーベントロートの丹沢山塊

関連記事

  1. 北岳タイトル写真5

    【北岳】日本第2位の高峰で富士山を眺める絶景

    南アルプス北部にある北岳は日本で2番目に高い山。一般的な知名度はイマイチ感…

  2. 蓼科山タイトル写真1

    【蓼科山】初冠雪した山頂で諏訪富士を満喫する

    八ヶ岳の北端に位置する蓼科山(たてしなやま)。諏訪富士とも呼ばれ日本百名山…

  3. 大岳山タイトル写真2

    【大岳山】東京で唯一の二百名山はユニークな形で人…

    大岳山(おおだけさん)は、御前山(ごぜんやま)、三頭山(みとうさん)と合わ…

  4. 蝶々深山タイトル写真2

    【蝶々深山】霧ヶ峰の真ん中で夏と秋の絶景に浸る

    日本百名山の霧ヶ峰は、ひとつの山というより周辺の高原や湿原を合わせた山域。…

  5. 三宝山タイトル写真1

    【三宝山】埼玉県の最高峰は三宝石からの展望がスゴ…

    埼玉県と長野県の境にある三宝山(さんぽうさん)は埼玉県の最高峰です。山頂南…

  6. 大日岩タイトル写真1

    【大日岩】金峰山の中腹にある巨大な岩の塊から望む…

    奥秩父の盟主といわれる金峰山。その西側の尾根を行く本格的な山登りコースのほ…

  7. 奥穂高岳と涸沢岳

    【奥穂高岳】北アルプス最高峰から望む秋晴れの絶景…

    奥穂高岳の山頂は、北アルプス・穂高連峰の最高地点。槍ヶ岳とともに槍・穂高連…

  8. 甲斐駒ヶ岳から見た仙丈ケ岳

    【仙丈ヶ岳】南アルプスの女王の素顔、その山頂から…

    仙丈ヶ岳は、南アルプス北部、北沢峠を挟んで甲斐駒ケ岳と向かいあう百名山で、…

おすすめ記事

  1. 鳥海山タイトル写真8
  2. 赤岳タイトル写真1
  3. 槍ヶ岳から見た山並
  4. 雨飾山の登山道
  5. 北岳タイトル写真5
  6. 剱岳タイトル写真4
  7. 槍ヶ岳タイトル写真4
  8. 奥穂高岳と涸沢岳
PAGE TOP