【筑波山】歴史ある名山から関東平野を見渡す

筑波山タイトル茨城県の南部にある筑波山は2つの山頂がある双耳峰。最も低い日本百名山としても有名です。しかも、ケーブルカーやロープウェイでも登れます。

筑波山タイトル写真1写真1:つくば市内から見た筑波山。歴史のある山は麓からよく見える。右が最高峰の女体山(標高877m)で、左が男体山(871m)。(撮影:2023/12/7)

筑波山タイトル写真2写真2:南側の宝篋山(ほうきょうさん)から見た筑波山。山頂は筑波山の絶好の展望台で、ベンチが筑波山に向けて設置されている。(撮影:2023/12/7)

筑波山タイトル写真3写真3:筑波山の撮影スポットとして有名な母子島遊水地から見た筑波山と朝日。タイムラプス映像が、この記事の後半にあります。(撮影:2020/1/20)

筑波山タイトル写真4写真4:霞ヶ浦ごしに夕方の筑波山を望む。ここから見ても、独特の双耳峰が目を惹く。左手前に伸びる低い山並みは宝篋山。(撮影:2023/12/7)

筑波山タイトル写真4写真5:さらに遠く離れて、東京・八王子の高尾山中腹・稲荷山で撮影した筑波山。空気が澄んだお正月に見えることが多い。(撮影:2008/1/1)

※タイトル画像は5秒ごとに変わります。
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関東平野を見渡す素晴らしい展望を楽しめる山


筑波山といえば「ガマの油売り」が有名ですが、最近は知らない人も多いかと思います。山好きな人にとっては、むしろ「最も低い日本百名山」というのが筑波山の枕詞ではないでしょうか。

『日本百名山』の著者・深田久弥は、百名山を選ぶにあたって、山の品格・歴史・個性の3つを基準にしたと後記に書いています。これに加えて、標高1500m以上という線引きをしています。

にもかかわらず、標高1000m未満で日本百名山に入った山が2つあります。鹿児島県の開聞岳(924m)と茨城県の筑波山(877m)です。そして筑波山の項の書き出しには、

 筑波山を日本百名山の一つに選んだことに不満な人があるかもしれない。

と書かれています。深田さんも異論が出ることを予想していたんですね。それでも、この山を選んた理由は、筑波山の歴史にあるとしています。詳しくは『日本百名山』を読んでみてください。

参考記事:百名山が好きな人も嫌いな人も山が好き

とはいえ、このサイト『絶景360』の趣旨は”絶景”です。私が、かねがね筑波山を『絶景360』に入れたいと思っていた理由は、その山頂から関東平野を見渡すことができるから。しかも、すぐ近くに日本で2番目に大きな湖・霞ヶ浦も見えます。

というわけで、何はともあれ山頂からの景色をご覧ください。まずは最高峰の女体山です。

※左下のTHETAの文字をクリック(タップ)すると、よりワイドな画面で見ることができます。

この写真は、Webサイト『絶景360』の一部です。『絶景360』は、こちら(https://zk360.site)からご覧いただけます。 – Spherical Image – RICOH THETA

女体山の山頂で全天球パノラマ写真(撮影:2023/12/8)

ちなみに、男体山の山頂から見ると女体山の山頂はこんな感じ。

筑波山の女体山の山頂

女体山の山頂部

次に男体山です。御幸ヶ原(女体山と男体山の間にある鞍部)越しに見た男体山はこんな感じです。

筑波山の男体山の山頂部

御幸ヶ原ごしに見た男体山

御幸ヶ原から男体山の山頂へ行くと大きな祠があって、残念ながら360°の展望とはいきません。

筑波山の男体山の山頂

男体山の山頂部

しかし、この祠の裏側に南方向を見渡せる展望デッキがあって、空気が澄んでいるときは東京スカイツリーや富士山を見ることができます。しかし、このパノラマ写真を撮ったときは、スカイツリーはかすかに見えていたのですが写真には写りませんでした。富士山は霞に溶け込んで見えませんでした。

この写真は、Webサイト『絶景360』の一部です。『絶景360』は、こちら(https://zk360.site)からご覧いただけます。 – Spherical Image – RICOH THETA

男体山の山頂展望デッキで全天球パノラマ写真(撮影:2023/12/8)

さらに男体山には、山頂の少し下を周回する自然研究路があって、その途中に立身石(りっしんせき)という大きな岩があります。立身石の裏手(南側)に回り込むと、山頂の展望デッキと同じように南側の景色を楽しむことができます。

この写真は、Webサイト『絶景360』の一部です。『絶景360』は、こちら(https://zk360.site)からご覧いただけます。 – Spherical Image – RICOH THETA

立身石の裏手で全天球パノラマ写真(撮影:2023/12/8)


母子島遊水地で”逆さ筑波山と朝日”のタイムラプス


この記事のタイトル写真3枚目のオレンジ色の写真は、筑波山の北西にある母子島遊水地(はこじまゆうすいち)で撮ったものです。ここは、筑波山の撮影スポットとして広く知られています。

せっかくなのでタイムラプス撮影にチャレンジしたところ上手く撮れたので、ここに載せたいと思います。

母子島遊水地から望む逆さ筑波山と朝日(撮影:2020/1/20)


東側の尾根で展望と奇岩巡りを楽しむ


筑波山には複数の登山道があります。また、山頂近くまでケーブルカーやロープウェイで登ることもできます。この記事の最後にあるアクセス方法を参照してください。

数ある登山道の中で私が好きなのは、東側のつつじヶ丘から登るコースです。南側の筑波山神社よりスタート地点の標高が高いのも嬉しいのですが、まずは見晴らしがいいのが魅力です。

登山口の名前もつつじヶ丘ですが、少し登ったところにもつつじヶ丘と呼ばれる開けた場所があって、そこからの展望が見事です。天気がいいと霞ヶ浦を見渡すことができます。

筑波山のつつじが丘(朝

つつじヶ丘からの展望(朝)

筑波山のつつじが丘(昼

つつじヶ丘からの展望(昼)

朝の写真の地平線近くに白く広がっているのが霞ヶ浦です。昼の写真の真ん中あたりに見える建物は、つつじヶ丘の登山口(駐車場)とロープウエイ乗り場です。

つつじヶ丘から先は、しばらく普通の登山道が続き、やがて中腹の弁慶茶屋跡で白雲橋コースと合流します。お楽しみはその後で、登りながらいろいろな奇岩と出会うことができます。それぞれの岩に案内板があるので見落とすことはないでしょう。

では、ここからは筑波山の奇岩ガイドです。基本的に、登山口側から山頂方向へと並んでいます。すべて網羅したつもりですが、もれがあったら申し訳ありません。

まずは「弁慶の七戻り」です。岩と岩の間に狭い登山道があって、その上に大きな岩が載っています。その岩が今にも落ちそうで、あの弁慶ですら通行を躊躇したというもの。特に山頂側が怖いですね。

筑波山の弁慶の七戻り1

弁慶の七戻り(登山口側)

筑波山の弁慶の七戻り2

弁慶の七戻り(山頂側)

次に「高天原」です。狭い石の通路を上がっていくと、右側の岩の上に祠があります。少し展望もあります。

筑波山の高天原

高天原

高天原から一登りで「母の胎内くぐり」に着きます。大きな岩の下、岩と岩の狭いすき間を通り抜けることで生まれ変わり、罪穢れ(つみ・けがれ)のない心身に立ち返るというもの。

胎内くぐり自体は、あっちこっちの山にあって好きな人も多いようです。筑波山の胎内くぐりは、最初に行ったときはかなり狭く感じたのですが、今はさほどでもなくなったように思います。

筑波山の母の胎内くぐり

母の胎内くぐり

続いて「陰陽石」が現れます。陰と陽の相反する岩が寄り添っている様子だそうです。

筑波山の陰陽石

陰陽石

奇岩の中でも少し変わっているのが、この「国割り石」です。平らな岩に、縦横斜めの線が刻まれています。昔、ここで神々が統治する地方を割り振ったのだとか。

岩の上にあるのはコインです。ここは「金運・出世のパワースポット」とされていて、100円玉を含めてたくさんのコインが置かれていました。

筑波山の国割り石

国割り石

次は「出船入船」です。岩の形が、出ていく船と入ってくる船が並んでいるように見えます。といっても、昔の船なのでイメージしにくいかも知れません。おそらく、左が船の舳先、右の丸みを帯びた方が船尾でしょう。

筑波山の出船入船

出船入船

さらに分かりにくいですが、今度は大きな袋を背負った大黒様の後ろ姿だそうです。

筑波山の裏面大黒

裏面大黒

その先、岩の前に小さな祠があるのですが、特に説明がなかったので通過します。

次に見えてくるのは「北斗岩」です。天に輝く北斗星のように決して動かず、天に向かってそびえ立つ岩とのこと。見る向きで印象が違うので、2方向から撮りました。岩と岩の間を通り抜けることができます。

筑波山の北斗岩1

北斗岩(登山口側)

筑波山の北斗岩2

北斗岩(山頂側)

お次は「大仏岩」。上部の岩が大仏の頭のように見えます。高さは15mだそうです。

筑波山の大仏岩

大仏岩

登山道から少し左に入ったところに「屏風岩」があります。写真だと分かりにくいですが、確かに岩が壁のように奥まで続いています。ここはロープウエイの真下です。

筑波山の屏風岩

屏風岩

ここまで来ると女体山の山頂は近いです。しかし、山頂直下は登山道が急な岩場になっています。登りも大変ですが、下りはさらに危険なので気をつけて通行してください。

女体山の山頂部を過ぎて少し行ったところに「ガマ石」があります。たしかにカエルに似ていますが、この石の前で「ガマの油売り」の口上を考えたという話もあるようです。

筑波山のガマ石

ガマ石

一見、普通の岩に見えますが「セキレイ石」といいます。この石の上に鶺鴒(せきれい)という鳥がとまって、イザナギノミコトとイザナミノミコトに夫婦の道を教えたという伝説があるそうです。ということは、この石がなかったら、この世界はなかったかもしれないってことでしょうか!?

セキレイ石

最後に、パノラマ写真のところで登場した立身石(りっしんせき)です。場所は、男体山の南側です。親鸞上人がここで餓鬼を救ったという伝説と、間宮林蔵が少年時代にここで立身出世を祈ったという話があります。展望スポットは、この岩の左側を回り込んだ先です。

筑波山の立身石1

東側から見た立身石

筑波山の立身石2

西側から見た立身石

ども、お疲れさまでした。


筑波山へのアクセス

エリア:関東北部

この山へ行くのに最適な地図は、
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①メインは、南側の御幸ヶ原コースでしょう。筑波山神社から徒歩2時間弱で御幸ヶ原に着きます。ケーブルカーで登ることもできます。御幸ヶ原から左へ約10分で男体山、右へ約20分で女体山です。御幸ヶ原の手前と男体山への登りがガンバリどころです。

②次にポピュラーなのは、本文中で紹介したつつじヶ丘から登るコースだと思います。登山口に大きな駐車場があるし、ロープウェイで女体山の山頂直下まで行くこともできます。奇岩を見たいけど登りが苦手という人は、下りだけ歩いてもいいでしょう。ただし山頂直下は、とても急で険しい岩場になっています。男体山へ行くには、御幸ヶ原まで下って登り返します。

③筑波山神社から、つつじヶ丘コースの途中へ合流する白雲橋コース、つつじヶ丘の登山口へ向かう迎場コースもあります。たくさん歩きたい人は、これらのルートと御幸ヶ原コースを組み合わせて筑波山神社から周遊するといいかと思います。

④このほか、西側に1本、北側に2本の登山道がありますが、私は行ったことがないので様子は分かりません。ただ、筑波山は観光地化が著しいので、登山らしい登山が目的ならこれらのルートがいいかもしれないと想像しています。

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