写真1:山梨県の大菩薩嶺から見た富士山。爽やかな秋空が天高く広がっている。しかし…。(撮影:2003/9/23)
写真2:槍ヶ岳の山頂付近で撮影した夕景。標高は約3,000m。宇宙に近づいた感じがする。(撮影:2017/9/26)
写真3:富士山の山頂で見たドラマチックな朝日。この景色も薄い空気の中で起きている。(撮影:2018/9/6)
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地球サイズで見ると富士山もエベレストも高くない。
前回のブログ記事で、富士山は低い、地球は極めて滑らかな球体だと書きました。
下の写真の地球儀は直径30cmですが、このサイズに換算すると富士山(標高3,776m)の高さは0.1mm未満。エベレスト(標高8,848m)が約0.2mm、世界一深い海の底(マリアナ海溝、水深10,911m)が約0.26mmです。
しかし空気は、富士山の山頂で海面の約3分の2、エベレストの山頂では約3分の1です。富士山の山頂では、頭痛など高山病の症状が出る人がたくさんいます。
標高8,000m以上はデスゾーン(死の地帯)と呼ばれていて、人間は長く滞在することができません。エベレスト登頂を目指す人は、できるだけ速く登り、できるだけ速く8,000m以下まで戻る必要があります。
一般の旅客機は、高度1万メートル前後を飛びます。写真の地球儀だと、表面から約0.24mmのところです。一方、スペースシャトルの高さは約9.4mmです。
一般的には、地上から約100km(10万メートル)で空気がほどんどなくなるので、そこから上が宇宙とされています。写真の地球儀だと、約2.4mmのところです。
大気は地球を包む、とても薄いベール。
さて、地球温暖化の説明などで、ゆで卵をカットしたようなイラストを見ることがあります。黄身の部分が地球で、白身の部分が大気圏とされています。
その大気圏の真中あたりにオゾン層があって、これが地球を守っているとか、大気圏に温室効果ガス(二酸化炭素など)が増えると地球が温暖化するといわれます。
で、こうしたイラストを見ると大気圏はかなり厚みがあるのように感じます。しかし実際は、とても薄いものです。
たとえば、NASAが公開している宇宙船から撮った地球の写真を見ると、地球の表面に薄いベールのような層があります。これが大気です。「NASA 地球の写真」で検索してみてください。
地球の大気圏は、ゆで卵の白身のように厚いものではありません。実際は、ナメ茸の表面のヌルヌルのようにとても薄いものです。
風も、雲も、雨も、台風も、竜巻も、この薄い層の中で起きています。オーロラも、オゾン層の破壊も、この薄い層の中で起きています。
そして今、人間の活動によって発生する排気ガスも、PM2.5も、温室効果ガスも、この薄い層に溜まっています。そのため、大気が地球の下水道と化しているという人もいます。
この、薄くて美しい大気の層を大切にしたいです。私が大好きな絶景は、その中にあるので。
では、また。
by しもさん
※この記事は、かつて別サイト『事例s』に掲載していたブログ記事を加筆修正して再掲載したものです。