多くの登山者に畏敬の念、あるいは畏怖の念を抱かせる力がある。剱岳(つるぎだけ)は、そんなすごい山だと思います。
写真1:奥大日岳から別山乗越へと続く尾根から見た、夏の剱岳。無数の剣を立てたようなギザギザが目を引く。(撮影:2018/8/1)
写真2:夏雲に包まれた剱岳の山頂部。ここだけ見ても、特徴的な山容が分かる。そして、登頂意欲が高まる。(撮影:2018/8/1)
写真3:夕方になって雲が下がり、剱岳の全容が見えてきた。撮影場所は大日小屋の前。右手前の山は奥大日岳。(撮影:2018/8/1)
写真4:夕日に染まる剱岳。この日、この時、この場所で、この絶景に出会えたのは本当に幸運だった、感謝。(撮影:2018/8/1)
写真5:翌朝、中大日岳で剱岳の肩から昇る御来光を拝む。シルエットでも判別できる、剱岳の強烈な個性。(撮影:2018/8/2)
写真6:別山から剱岳の全容を眺める。手前のU字谷は剱沢。ここは、剱岳を眺める定番中の定番スポット。(撮影:2018/10/3)
写真7:別山乗越から剱御前に行く登山道から見た夕方の剱岳。日が傾くほどに剣のような陰影が際立つ。(撮影:2018/10/3)
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剱岳は登る価値が極めて高い山、展望も素晴らしい!
北アルプスは、山の絶景の宝庫。なかでも南部の槍・穂高連峰と北部の立山・剱は両横綱といっても過言ではないでしょう。
もちろん、北アルプス中央部の黒部川源流部や後立山連峰、南アルプスの白根三山や甲斐駒ヶ岳、あるいは八ヶ岳にも素晴らしい景色がたくさんあります。しかし、やはり槍・穂と立山・剱がアタマひとつ抜きん出ている気がします。
ここで、「え、富士山は?」と思った人は、こちらの記事を見てください。もちろん個人的な意見ですが、本当に山が好きな人は富士山より槍ヶ岳、そして槍ヶ岳より剱岳じゃないかと思います。
甲乙つけがたい槍・穂と立山・剱ですが、一般的な人気は槍・穂の方が高いかなという印象があります。しかし、歴史的な視点を加えると立山・剱が強いと思います。何といっても立山は、富士山、白山と並ぶ日本三大霊山で、信仰登山の長い歴史があります。
その立山を紹介した立山曼荼羅(マンダラ)という絵図があって、いうなれば昔のガイドブックのような感じのもの。そこでは、立山は極楽として描かれていて、左上にある剱岳は地獄の針山として描かれています。
そのためか、剱岳は長いあいだ「登るべからずの山」「登頂不可能な山」とされてきました。実際のところ、昔は登るのが非常に困難だったようです。
近代になって日本全土が測量されていく中で、剱岳は最後まで残った地図上の空白地帯だったそうです。しかし、1907年(明治40年)7月、測量隊が決死の覚悟で登頂に成功して三角点を設置しました。
これが剱岳初登頂の記録と思いきや、山頂には古い剣先と錫杖の頭があったそうです。つまり、はるか昔に山頂に到達した人がいたということ。やはり、昔の人も登頂意欲を抑えることができなかったのでしょうか。といっても、今とは違って信仰上の理由で登ったのだと思いますが。
そんな剱岳は、今でも一般の登山者が登る山の中では最も登頂が難しい山のひとつとされています。その山頂に立つことは、山が好きな人にとって、とても価値ある経験だと思います。
私が剱岳を目指したのは、2018年9月でした。北西側の馬場島から入山して、急登が続く早月尾根を登りました。この日は晴天に恵まれて、早月小屋に近い丸山から夕陽に染まる剱岳が見えました。
剱岳山頂を目指した翌日、出発したころは青空が見えていました。ところが残念なことに、山頂に着くころには空一面に雲が広がってしまいました。しかし幸い、高曇りだったので周囲の山はよく見えました。
では、剱岳山頂からの絶景を楽しんでください。
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この写真は、Webサイト『絶景360』の一部です。『絶景360』は、こちら(https://zk360.site)からご覧いただけます。 – Spherical Image – RICOH THETA
剱岳の山頂で全天球パノラマ写真(2018/9/20)
この写真は、Webサイト『絶景360』の一部です。『絶景360』は、こちら(https://zk360.site)からご覧いただけます。 – Spherical Image – RICOH THETA
剱岳の山頂で全天球パノラマ写真(山名ガイド付き)
剱岳へのアクセス
エリア:中部地方・南部
この山へ行くのに最適な地図は、
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①一般的なのは、立山側から入山するルート。富山地方鉄道・立山線の終点、立山駅からケーブルカーとバスを乗り継いて室堂平へ。そこから別山乗越を超えて、剱沢小屋か剣山荘で一泊。翌日、剱岳の山頂を目指す。
このコースは、一般登山道としては日本最難関といわれている。一服剱や前剱などを越えるためアップダウンが大きく、山頂手前には約70mの岩壁を登る”カニのタテバイ”がある。下山ルートにも、”カニのヨコバイ”と呼ばれる難所がある。
②もうひとつのメジャールートは、北西の馬場島(ばんばじま)まで車で入り、早月(はやつき)尾根を登るコース。七合目あたりにある早月小屋に泊まり、翌日、剱岳の山頂を目指す。立山からのルートに比べると危険な場所は少ない。
ただし、早月尾根は北アルプス三大急登のひとつといわれ、登山口から山頂まで標高差約2200mの急登が続く。
③剱岳の北側には北方稜線ルートと呼ばれる破線の登山道がある。ただし、ここは本格的なロッククライミングの技術と装備がないと足を踏み入れることができないエキスパート専用の難ルート。
④宇奈月温泉からトロッコ列車で欅平に入り、そこから剱岳へ向かうこともできなくはない。しかし、まず阿蘇原温泉までの水平歩道が難コース。そこから先は残雪が多く通行できる期間が短い。また、距離が長く、剱岳へのアプローチに使うのは現実的ではない。
ただ、途中の仙人池や池ノ平から見る剱岳は素晴らしい。私は、まだ自分の目で見ていませんが、テレビ番組などで紹介された映像を見ると、いつか必ずこの『絶景360』にその絶景を載せたいと思います。