山梨県と長野県の境に位置する金峰山は、奥秩父の盟主といわれる名山です。標高2599mと意外に高く、季節を変えて何度も楽しめる山です。
写真1:朝日に染まる金峰山のシンボル・五丈石。夕陽はこの右側に沈みます。どう見ても天然の祭壇、遺跡のような光景です。(撮影:2021/11/11)
写真2:山頂西側にある千代の吹上あたりから見た金峰山の山頂部。最も左の丸い盛り上がりが山頂で、その右が五丈石です。(撮影:2021/11/10)
写真3:瑞牆山の山頂から見た金峰山。ピンと立つ五丈石がハッキリとわかります。そのすぐ左の最も高い場所が山頂です。(撮影:2020/11/17)
写真4:東側の大弛峠から出発し、途中のピーク・朝日岳から金峰山を望む。この方角からは、たおやかな山に見えます。(撮影:2002/9/26)
※タイトル画像は5秒ごとに変わります。
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名山が多い奥秩父でも抜きん出た存在
“奥秩父”と聞いて「あの辺りだね」と即答できる人は意外に少ないのではないでしょうか。
埼玉県西部を秩父地方というので、その奥の方という感じがするかと思います。本来はそうなのかもしれません。しかし登山エリアとしては、むしろ「山梨県の上(北)の方」という感じがします。
山梨県の北部は埼玉県と長野県に接していますが、この県境に沿って伸びる稜線とその周辺が、いわゆる”奥秩父”というイメージです。
主要な山としては、東から雲取山、甲武信ヶ岳、金峰山、瑞牆山と4つの百名山があります。ほかにも二百名山の和名倉山と乾徳山、三百名山の国師ヶ岳など数々の名山が並んでいます。
そして、雲取山の東側は奥多摩エリア、瑞牆山の西はリゾート地として有名な清里を挟んで八ヶ岳です。
山頂部に屹立する五丈石が圧巻!
そんな奥秩父エリアの盟主といわれるのが金峰山です。標高は2599m。奥秩父の最高峰が2601mの北奥千丈岳で、わずか2mの差でトップは逃していますが、知名度や存在感では圧倒的一位だと思います。
ちなみに金峰山は、山梨側では「きんぷさん」と言いますが、長野側では「きんぽうさん」と呼ぶそうです。
私はずっと「きんぷさん」だと思っていたのですが、確かに長野側にある金峰山小屋は「きんぽうさんこや」というし、長野側の登山口にある金峰山荘は「きんぽうさんそう」といいます。長野の皆さん、失礼しました。
さて、そんな金峰山の名物といえば、何といっても山頂部の南西にある五丈石です。タイトル写真の1枚目に写っている四角い石の塊が五丈石なのですが、これがデカイ! 高さ約15mなので、4階建てのビルに相当します。しかも、見るからに人が積み上げた祭壇のような形をしています。
この五丈石は、近隣の山から見えるだけでなく、甲府盆地からも見えることがあります。それもあってか、金峰山は信仰の対象として昔から登られていたそうです。
甲府盆地から西に目を向けると、南アルプスの鳳凰三山のひとつ地蔵ヶ岳の山頂にもオベリスクと呼ばれる巨大な石の塔があります。もちろん、金峰山の五丈石も地蔵ヶ岳のオベリスクも自然にできたものです。
さらに、金峰山の西には瑞牆山がありますが、これがまた木々の間から岩がニョキニョキと生えたような異様な形をしています。また、金峰山と瑞牆山の間には大日岩と呼ばれる巨岩もあります。
これらすべて、花崗岩の岩です。このあたりの山は、花崗岩で出来ているんですね。ちなみに、屋久島も花崗岩の島ですし、北アルプスの女王といわれる燕岳(つばくろだけ)も花崗岩の山です。南アルプスの盟主・甲斐駒ヶ岳の白く輝く山頂部もそうです。
花崗岩、いい景色を作りますね、ナイスです。
では、まずは午後(夕方)の山頂で撮影した360°全天球パノラマ写真です。画面左下のTHETAの文字をクリック(タップ)すると、よりワイドな画面でパノラマ写真を見ることができます。
この写真は、Webサイト『絶景360』の一部です。『絶景360』は、こちら(https://zk360.site)からご覧いただけます。 – Spherical Image – RICOH THETA
秋晴れの金峰山山頂で360°全天球パノラマ写真(撮影:2021/11/10)
そして翌朝、朝日を受けて赤く染まる金峰山の山頂です。
この写真は、Webサイト『絶景360』の一部です。『絶景360』は、こちら(https://zk360.site)からご覧いただけます。 – Spherical Image – RICOH THETA
御来光に染まる金峰山山頂で360°全天球パノラマ写真(撮影:2021/11/11)
続いて、山名入りです。
この写真は、Webサイト『絶景360』の一部です。『絶景360』は、こちら(https://zk360.site)からご覧いただけます。 – Spherical Image – RICOH THETA
御来光に染まる金峰山山頂で360°全天球パノラマ写真(山名入り)
登ってみると意外に険しい山道と千代の吹上伝説
さて、タイトル写真を見ると、金峰山はなだらかな山に見えるかと思います。しかし、いざ登ってみると、これがなかなか険しい。
特に西側の尾根を登り、大日岩の脇を抜けて山頂へ至るルートは歩き応えがあります。途中、鷹見岩などの見どころもあるので、できれば途中か山頂部で一泊して存分に味わいたいコースです。
見どころのひとつは、山頂近くにある”千代の吹上”と呼ばれる場所。まずは、写真をご覧ください。
見てのとおり、ほぼ垂直の岩壁の間から富士山が見えます。足もとも、垂直に切り落ちた崖で、こうした場所が2~3ヵ所あります(2枚の写真は隣り合った別の場所です)。正確には、どこが”千代の吹上”なのか、金峰山小屋のご主人に聞いたところ「そのあたり一帯」とのことでした。
“千代の吹上”という名称の由来として、こんな話があります。昔、ふもとの夫婦が金峰山に登ってきた。しかし、妻の千代さんが足を滑らせて、この崖から落ちてしまった。夫が、山頂で断食しながら祈ったところ、強い風に吹き上げられて千代さんが戻ってきたそうです。
東側や北側には、もっと楽に登れるルートもありますが、金峰山を味わい尽くすなら一度は”千代の吹上”がある西側のルートを歩いてみるといいかと思います。
金峰山へのアクセス
エリア:奥秩父
この山へ行くのに最適な地図は、
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①最も容易なのは、東側の大弛峠(おおだるみとうげ)から朝日岳を越えて行くルート。コースタイム2時間半ほどで金峰山の山頂に立てる。ただし、大弛峠へ至る川上牧岡林道が長く、しかも通行止めが多い。特に長野側は悪路で、通行できたら幸運という感じ。
②長野側の廻目平(まわりめだいら)をベースにして、北側から登るコースも比較的容易だ。行程の半分は林道歩きで、廻目平から山頂までコースタイムで3時間半ほど。
③より本格的な登山を楽しみたいときは、本文にも書いた西側からのルートがおすすめ。瑞牆山荘の前からスタートして、富士見平小屋、大日小屋、大日岩、砂払いの頭、千代の吹上を経て山頂へ至る。健脚者なら日帰りも可能だが、なるべくなら一泊二日で楽しみたい。