高さも人気も日本一の富士山。ところが、山好きな人には一概に富士山が一番ではないようです。では、本当に人気の山とは?
登山が好きな人にとって「憧れの山」といわれる槍ヶ岳。しかし、それも最初のころだけなんじゃないかな、なんて思います。
ある程度の登山経験がある人にとって、憧れの山はこの剱岳ではないでしょうか。日本最難関の山のひとつとされています。
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日本人が登ってみたい山、おそらく一番は富士山でしょう。
不特定多数の日本人を対象に「あなたが好きな山は?」「登ってみたい山は?」といったアンケートを行ったら、たぶん富士山が一位だと思います。
まず、最も標高が高い。日本で一番高い場所に自分の足で立ってみたいと思う人は少なくありません。富士山に登れるのは7月1日から9月初旬までですが、この2ヶ月ちょっとの間に20万人以上が入山しています。
ただし、2020年はコロナ禍の影響で入山禁止、2021年はコロナ前の3分の1程度でした。しかし、コロナ禍が収束して、また多くの人が登るようになっています。特に、外国人の増加が目立ちます。
富士山は、姿形の美しさも群を抜いています。信仰の山としての歴史もあるし、浮世絵など日本の文化に深くかかわってきました。そのため、知名度が高いというのも大きな要因になるでしょう。
しかも富士山は、意外にも登りやすい山といわれています。もちろん標高が高いので高山病に対する注意が必要ですし、それ相応の体力が求められます。しかし、北アルプス主稜線の岩稜帯を歩くような技術はなくても大丈夫です。
また、山小屋がたくさんあるので本格的な登山に比べると少なめの装備でも登ることができちゃったりします。もちろん、軽装備での安易な登山は絶対に推奨しませんが。
登山者の憧れ、「いつかは槍ヶ岳」ってホント?
ところが、山が好きな人、ある程度の山登りを経験している人を対象にアンケートをとると、おそらく富士山が一番になることはないでしょう。
これまで私が各地の山小屋で出会った方々と富士山の話になったとき、多くの人が「一度登れば十分」「何度も登りたい山ではない」「見た目はいいけど、登って楽しい山ではない」と言っていたのを思い出します。
そうなんです、北アルプスへ行くような人も、たいてい一回は富士山に登っています。しかし、富士山に登りたいと思うのは登山経験が浅いころだけのようです。
もちろん、毎年必ず富士山に登るのが楽しみという人もいるし、南アルプス縦走のトレーニングで今年3回目の富士山という人に会ったこともあります。なので一概にはいえないですが、どうもベテラン登山者は少ないように感じます。
では、登山者に人気の山はというと、まず北アルプスの槍ヶ岳(やりがたけ)です。『日本百名山』の中で著者・深田久弥は、次のように書いています。
「一生に一度は富士山に登りたいと思うのが庶民の願いであるように、いやしくも登山に興味を持ち始めた人で、まず槍ヶ岳の頂上に立ってみたいと願わない者はないだろう」
山歩きを始めると、最初は身近な低山に登り、そのあと何度か1000~2000mクラスの山へ行く。そして、八ヶ岳や北アルプスを目指すというのが一般的ではないでしょうか。
八ヶ岳や北アルプスの稜線に出ると、ひときわ鋭く尖った山が目に入ります。そして、その山を指して周囲の人が「ヤリだ!」という。すると自然に「あの山に登ってみたい」「あの穂先に立ってみたい」という気持ちが湧いてきます。だから槍ヶ岳は「登山者の憧れの山」といわれるんですね。
しかし、その願いを叶えるのは、そんなに難しいことではないと思います。八ヶ岳や北アルプスの山を何度か経験していれば、槍ヶ岳に登るのは十分に可能だと私は思います。
確かに3000mを超える高山ですし(標高3180mで日本第5位)、山頂部は鎖や梯子が続く急登です。とはいえ、大人気の山なので登山道も山小屋も整備されています。
ということで、登山が好きで中級レベルの人なら、たいてい槍ヶ岳に登ったことがあるのではないでしょうか。富士山と違って夏から秋まで登ることができるので、季節を変えて何度も楽しむことができます。
となると、槍ヶ岳が「登山者の憧れの山」「いつかは槍ヶ岳へ」というのは少し違うような気がします。槍ヶ岳は「登山初級者の憧れの山」というのが適当じゃないでしょうか。あくまでも個人的な見解ですが。
槍ヶ岳の次に憧れる山、それは剱岳!
では、槍ヶ岳を経験した人が次に憧れる山というと、やはり剱岳(つるぎだけ)ではないかと思います。標高こそ2999mと、わずかに3000mに足りないのですが、その険しさは定評があります。
剱岳は、有名な立山曼荼羅で地獄の針山として描かれ、長いあいだ「登るべからずの山」とされてきた急峻な峰です。昔は「登るのは不可能」といわれていましたが、今は複数の登山道が開かれています。
最もポピュラーなのは、南側の立山・室堂平から入山して別山乗越と前剱を超えていくルートです。ただし、山頂の手前に有名な”カニのタテバイ”があって、一般登山道としては日本最難関といわれています。
もうひとつ、西側の早月尾根(はやつきおね)を登るルートがありますが、こちらは馬場島(ばんばじま)の登山口から標高差2200mを登る体力勝負のコース。タイトル写真3枚目の、左側の稜線に沿って登山道があります。
さらに、険しい岩稜が続く北方稜線ルートはロッククライミングの装備と技術が必要です。一応、破線ルートになってはいますが、一般の登山者は足を踏み入れることができません。
ということで、「いつかは槍ヶ岳」の次は「いつかは剱岳」という人が多いのではないかと思います。
登山経験によって変わる憧れの山。
つまり、山に関心を持った人が最初に「一度は登ってみたい」と思うのが富士山。そして、登山を始めると槍ヶ岳に憧れて、ある程度の経験を積むと剱岳を目指すという流れがあるんじゃないかな、と考えました。それが、この投稿のタイトル「一富士、二槍、三剱」の意味です。
それぞれの山の絶景写真と山頂からの展望は、以下の記事で見られます。
【富士山】日本最高所の全天球パノラマ写真と御来光の絶景。
【槍ヶ岳】憧れの山頂で北アルプス大展望を望む絶景
【剱岳】登頂不可能とされていた山の頂から360°の絶景
私も最初は、高尾山や奥多摩の中低山から初めて、まだ初心者のころに富士山に登りました。当時は、装備も技術も未熟でした。そして何年か登山を続けて、北アルプスの山を何度か経験してから槍ヶ岳に行きました。
その後、しばらく登山から離れていたのですが、復帰して3年目に剱岳に登りました。ただし、早月尾根コースです。その後、立山側から登る計画を立てたのですが、コロナ禍の影響もあってまだ実現していません(2024年4月現在)。
さて、槍ヶ岳と剱岳に登ったら次はどこを目指すか。それは、人それぞれでしょう。剱岳に登るくらい山の経験がある人なら、自分が何を求めて山へ行くのか分かっているのではないかと思います。
北アルプスの主要な山を制して、南アルプスへ向かう人もいるでしょう。屋久島や北海道、あるいは海外の山へ行く人もいるでしょう。岩登りや沢登りを楽しむ人もいるでしょう。
私自身は、とにかく展望のいい山に登って、たくさんの絶景に出会いたいです。やはり百名山や二百名山が多くなるとは思いますが、有名な山の隣にあるマイナーピークや意外な展望がある低山も絶景スポットとして発掘していきたいです。そして『絶景360』で紹介したい、それが私の登山の目的です。
では、また。
by しもさん